アドラー心理学とは?
アドラー心理学とはアルフレッド・アドラーが創始し後継者たちが発展させた心理学の体系で個人心理学が正式な呼び方ですが日本ではあまり使われていません。
アルフレッド・アドラーは精神科医であり心理学者、社会理論家でもあります。ジークムント・フロイトおよびカール・グスタフ・ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人です。
このように、アドラーは当初精神科医として精神に疾患を持った人を対象にした、いわゆる病理学的心理学を行っていました。
フロイトやユングが病理的心理学で精神的疾患を抱える人のための心理学であるのと対象的に、アドラーは個人心理学という健常者のための心理学、つまり人間性の原理を学習する事により“幸せとは何か?”“精神的幸福になるには?”人間とは何かを知る人間知の心理学と言われています。
この心理学の根底に流れているのは「勇気づけ」と「共同体感覚」です。
勇気づけとは?
勇気づけとは、困難を克服する活力を与えること。
共同体感覚とは?
(1)共同体に対する所属感・共感・信頼感・貢献感を総称した感覚・感情
(2)精神的な健康のバロメーター
アドラー心理学が受け入れられる社会背景
長期的な背景として
(1)「みんなと同じでなければならない」という同調圧力
(2)「みんなに好かれたい・嫌われたくない」という承認欲求や失愛恐怖
これらによって勇気をくじかれた人たちが多くいること。
中・短期的な背景として
(1)大きな自然災害(東日本大震災などを体験したため日本人の絆意識が強まった)
(2)人間性の原理への回帰
これらによって共同体感覚の目覚めていきます。
基本的認知の5本柱
共同体感覚とは決して誰かに強制されるものではありません。
あくまでも自分自身が心地よく感じるものです。
◎自己決定性
人間は環境や過去の出来事の犠牲者ではなく自ら運命を創造する力がある。
◎目的論
原因を見るのではなく目的を見る。人間の行動には、その人特有の意思を伴う目的がある。
◎全体論
人は心の中が矛盾対立する生き物ではなく、一人ひとりがかけがえのない分割不能な存在である。
◎認知論
人間は自分流の主観的な意味付けを通して物事を把握する。
◎対人関係論
人間のあらゆる行動は相手役が存在する対人関係である。
◎その他:ライフスタイル・ライフタスクなど
困難を克服する活力を与えるよう態度や技術を持って勇気づけを行い、精神的な健康のバロメーター、共同体感覚の中での所属感・共感・貢献感の確かさを求めて行動できるようにという思想を持って共同体感覚へと導きます。
勇気づけのキーワード
自分自身を勇気づける方法
誰かを勇気づけるためにはまず自分自身が精神的に健康でなければいけませんよね?
自己勇気づけのために取るべき行動
勇気づける生活
生活していると、朝スッキリ目覚められる日もあれば疲れが溜まってなんだか重だるい気分で目覚める日もあります。
そして支度を整えて出勤します。集団の中に身を置いて誰かと接することで良くも悪くも感情が引っ張られます。相手の言動で嬉しくなったりイライラしたり・・・
自分だけではなく他の人からも自分自身の気分を変えられてしまうのです。
そして仕事を終え、帰宅し布団の中で眠りにつく時、今日はこんな事があって嬉しかった・嫌だったと考えます。
1日を通してみると、朝目覚める時と夜眠りにつく時は自分ひとりの行動なので、感情を誰にも引っ張られることなく自分だけで自分自身の気分を決められるのです。
そこで、朝どんなに目覚めが悪くても気分が優れなくても“よし!今日も時間どおり起きることが出来た、上出来!”とオセロゲームに例えて良い気分を白として1日をスタートさせましょう。
そして、眠りにつく時は嫌なことがあったりうまく行かなかったとしても小さくても何かしら良いことが1つくらいはありますよね?もしなかったとしても“今日も1日仕事を終えることが出来た!それだけで上出来!”と良い気分の白で1日を終えましょう。
オセロゲームは同じ色で挟んだらその間の色を引っ繰り返すことができます。
オセロと同じで自分自身の気分を、悪い事と悪い事で挟んでしまうとその日1日が悪い1日になってしまいます。
これとは逆に、良い事で始まり良い事で終わることで、その日1日が良い1日となるのです。
このオセロゲームの生活を1日1日と続けて習慣化させましょう。
5年後10年後の自分が楽しみになりますよ。
勇気づける人と接する
◎勇気づける人の6つの特徴
・尊敬と信頼で
・楽観的(プラス思考)で他者と接する
・目的(未来)指向
・聴き上手
・大局を見る(ピンチの時、俯瞰で物を見られる)
・ユーモアのセンスがある
《言葉・イメージ・行動を勇気づけで満たしきる》
言葉で断言し、イメージで断想し行動で断行する。
これを三位一体として考える。
すでに実現したかのようにAs if(まるで・・・かのように)を肯定的に使う。
勇気づけの実践
1.感謝を表明すること
「ありがとう」「すみません」のどちらでも言える状況ならばぜひ「ありがとう」と言いましょう。
「ありがとう」の出し惜しみをせずに、これまで「すみません」と言っていたのを「ありがとう」に変えるだけでも、ずいぶん気持ちがいいですよ。
2.聴き上手に徹すること
有効なアドバイスをしたくなりがちですが、まずはじっくりと相手の話を聴くこと。
あなたの話が聴きたいんです!と気持ちにスイッチを入れましょう。他のことに気を取られず不思議と相手の話をじっくりと聴くことができますよ。
3.相手の進歩・成長を認めること
進歩と成長を同時に見る。
4.ヨイ出しをすること
ヨイ出しとはダメ出しの対義語。相手の良いことをあえて口にする。
元気よく電話対応ができる、笑顔で挨拶ができるなど当たり前のことでも口にすることで相手の良いことを失わなくなるのです。またその良いことは現状より悪化することはないのです。
5.失敗を許容する
失敗から学ぶことで相手自身に教訓を引き出させること。
《褒める》と《勇気づけ》の違い
勇気づけは評価ではないのでどちらからの一方通行ではなく、その中には関係性があるのです。
成長を認めるということは、見てくれているという信頼関係に繋がります。
「不完全である勇気」完全な人間などいません。誰でも良い時もあれば悪い時もあるのです。
ですからまずは自分自身に勇気づけをしてあげましょう。
褒める
☆優れている点を評価し称賛すること。
☆相手が自分の期待していることを達成した時に与えられる(条件付き)。
☆行為をした人に与えられる。
☆評価的態度。
☆上下関係。
勇気づけ
☆困難を克服する活力を与えること。
☆相手が達成したときだけではなく失敗した時にもあらゆる状況で与えられる(無条件)。
☆行為に対して与えられる。
☆共感的態度。
☆対等の関係。
勇気づけの3ステップ
・自分自身を勇気づける。
・勇気くじきをやめる。
・勇気づけを始める。
人は「こんなところが嫌だな」「こういうところを直したいな」と自分が変わりたいと自覚した時点で変わることができるのです。
ただ
共同体感覚は誰かに強制されるものではないので、他者をコントロールすることはできません。
勇気づけと共同体感覚のまとめ
誰ももう、わたしの名前など覚えていないときがくるかもしれません。個人心理学という学派の存在さえ、忘れられるときがくるかもしれません。けれども、そんなことは問題ではないのです。なぜなら、この分野で働く人の誰もが、まるでわたしたちと一緒に学んだように行動するときがくるのですから。
—アルフレッド・アドラー
勇気づけと共同体感覚については本日はふれてみました。
アドラー心理学(外国では個人心理学)は、今ではあらゆるビジネスシーンで活用されているので、この記事をきっかけに知識を深めてほしいです。
これをお読みのあなたが、もしビジネスにアドラー心理学を活かしたいと思うなら、僕がおすすめする山口さんのメルマガは読んでみてください。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。